今月から新入社員が入社する組織は多いでしょう。
また、4月は人事異動や昇進・昇格の時期でもあります。
新しく部下を持たれる方、先輩になる方もいらっしゃると思いますので、人材育成における「よくある事例」をテーマに考えます。
若手社員の頃、先輩や上司から教えられたことをうまくできずに、悩みながら過ごした経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
そんな若手社員が目の前にいたら、今のあなたはどんなふうに声をかけますか?
「私も昔はそうだった。うまくいかなくて悩んだよ。」
「誰でも通る道だから、あまり気にし過ぎないように。」
こんな風に声をかけなくても、若手社員に対して抱く気持ちは皆さほど変わらず、温かい気持ちで接するのかもしれません。
ところが、仕事が忙しくなってくると、先輩や上司も一人の人間です。イライラすることもあるでしょう。
何度教えてもできない人や、前に指示したことをやっていない人。何度も同じ質問をしてくる人など。
こうした若手社員に遭遇すると、ついイライラして、
「それ前にも言ったでしょ!」
と、注意してしまったことはありませんか?
この「つい」が曲者で、感情に任せて言ってしまうわけですが、こうした発言が相手に与える影響をよく考えておく必要があります。
例えば、相手に対する注意喚起を通じて、今後意識して取り組ませることや、戒めに繋げてもらうことができるかもしれません。
一方で、こうした発言によって相手を傷つけてしまうこともあります。
前にも言ったのに、
・できていないのは、「能力が低い。」
・やっていないのは、「ただの怠慢である。」
・同じことを聞くのは、「物覚えが悪い。」
「それ前にも言ったでしょ!」
この発言には、少なからず相手を非難するメッセージが含まれています。
そう考えますと、このような発言を相手にするメリットは、果たしてどれほどあるのでしょうか。
むしろ、デメリットのほうが大きいのかもしれません。
それでも、言いたくなってしまうのが人の常ではありますが、そこをぐっと我慢できると、自分の育成スキルの向上にも繋がります。
人材育成では、相手の成長のために、我慢や忍耐が必要になるシーンがたくさんありますが、
どうやら、こうした不用意な発言についても我慢が必要と言えそうです。