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合理的配慮

 

先日、発達障がい者支援に関するセミナーに参加しました。

講師は、ご自身も発達障がいを持つ笹森理絵氏でした。

 

笹森理恵氏 ブログ

 

 

発達障がいに関する情報は、多くの書籍などで解説されていますが、

笹森氏の話をお聞きしていると、彼らは極めて不便な日常生活を

送っているのだと感じました。

 

臨機応変、状況判断、曖昧、適当、大人の対応など、

こうした行為は彼らにとって謎でしかないという事実。

 

うまく想像できないのに、臨機応変に対応できるわけがないのですが、

発達障がいではない大勢の人々にとって、そうした事実を理解することは

困難なのだろうと思います。

 

 

人は自分が当たり前のようにできると、他の人も難なくできると思いがちです。

 

マジョリティとしての考え方が固定化されているとも言えます。

 

 

私も知識としては理解しましたが、

不便で不快な日常生活を完全に想像することはできません。

 

しかし、同じ職場で働く時には、

お互いに配慮し合うことが大切であることは間違いありません。

 

 

笹森氏は、これを「特別扱い」ではなく、「合理的配慮」と話されていました。

 

いくつか配慮することによって、その人の能力を活かすことが

できるわけですから、そのほうが合理的であることは言うまでもありません。

 

 

それを面倒であると思考停止になるのは、マジョリティの発想なのでしょう。

視点が変われば、誰でもマイノリティになるかもしれません。

 

また、マジョリティか、マイノリティかという分け方も

一つの視点でしかありません。

 

 

障がい者の雇用率が7割以上である日本理化学工業での取り組みは、

一人ひとりの能力を活かすために、合理的配慮がなされている好例であると、

笹森氏のお話を聞きながら思い出しました。

 

 

同じ職場でもどのような見方をするかによって、良くも悪くもなり得ます。

また、違った視点で自らの組織を見つめることで発見できることは多々あります。

 

組織に社員を適応させようとするのも一つの手段ですが、

社員に適した組織づくりや、適応しやすい施策を打つことも一つの手段です。

 

 

他者と同じであることを求められ続け、和を尊ぶことでは事足りず、

「和を乱さないことまで良し」とする教育では、

違いを認め合う意識を持つのは難しいのかもしれません。

 

また、違いを活かすマネジメントは、同質化のマネジメントより

難易度が高いですが、そのメリットや意義が大きいのも事実です。

 

そして、違いを活かすためには、合理的配慮が必要ですし、

何が必要な配慮か判断するためには、お互いを知らなければなりません。