これまで様々な企業のマネジャーと対話をしていますが、部下の成長を導くマネジャーには主に3つの特徴があると考えています。
1.部下のことをよく知っている
成果を上げているマネジャーと話をしていると、部下の仕事内容だけでなく、人柄、得意なことや好きなことなど、パーソナルな情報をよく把握しています。
これは日頃から部下に関心を持ち、よく観察しているためと考えられます。
自分のことを気にかけてくれていると感じている部下は、うまくいかないことや悩みがあれば、上司に相談しやすくなります。
また、部下をよく観察しているマネジャーは、部下の些細な異変にも気づきやすいため、素早い支援をすることができます。
その結果として、部下の成長を早めるだけでなく、組織の成果を上げることにも繋がります。
2.成果を出すために必要な行動は躊躇せず行う
報連相は部下から行うべきといった考え方は根強くありますが、部下を伸ばすマネジャーは、自ら進んで部下に確認します。
報告がなくても、自分から確認しにいけば、部下から情報を得ることができます。
マネジャーが「報連相をせよ」と繰り返し言わなくても、自ら部下に確認する姿勢を見せていれば、部下も報連相の必要性を理解します。
上司がどのような情報を必要としているか、部下が感覚的に理解するためにもこうした行動には意味があります。
そうした姿を見せることによって、部下は、マネジャーとして必要な姿勢や行動を学ぶことができます。
少なくとも「部下は的確で迅速な報連相をするべき」と言うだけで、自らの行動を変えようとしないマネジャーでは、部下を伸ばすことも、自らが統括する組織を良くすることも難しいでしょう。
3.部下の挑戦を推奨する
何があって守ってくれる安心感をマネジャーが提供していると、部下は思い切って挑戦できます。
多くの企業で成果主義的な人事評価制度へと変更されたことによって、マネジャーは、より確実に成果を上げられる手段を取るようになりました。
それは、すなわち失敗を避けるための手段の選択であり、経験の浅い若手社員に仕事を学ばせる機会の減少を意味しています。
そのため、裁量度の低下や部下への権限移譲がなされにくくなっています。
しかし、挑戦の結果、失敗をすることによって初めて学ぶこともたくさんあります。
そのためには、失敗しても許される環境がなければなりません。そうでなければ、挑戦する社員はいなくなるのです。
「いざという時に自分を守ってくれる人であるか」
部下は常に上司を見ています。
勇敢なマネジャーは、人事制度に関係なく、部下を守っていますが、決して多くはありません。
ですから、部下を伸ばすマネジャーを守るためには、失敗を許容する文化や制度が必要であることは言うまでもありません。