シリーズでお送りしております若手社員を転職予備軍にさせない方法の最終回(後編)です。
転職予備軍を大きく3つのタイプに分けまして、3つ目のタイプである
「成長に行き詰まりを感じている転職予備軍」への対策について書いています。
前回は、その対策として、下記2つについて書きました。
・彼らのモヤモヤを整理できるように支援する
・適切なメンターをつける
その他に、下記のような対策があります。
< ロールモデルを持たせる >
タイプ3の人から、
「社内に目標となる人や憧れる人がいません。」
よくこのようなご相談を受けます。
私は、彼らによくお伝えするのですが、
たいていの若手社員にとって、そのような人はいないものです。
自分のロールモデルとなるような人を身近に見つけられた人は幸運なのではないでしょうか?
なぜなら、彼らは社内の一人ひとりをじっくりと観察していないからです。
そのような時間もなければ、観察のポイントも知らないために、
ロールモデルなんていないと思い込んでしまうのではないでしょうか。
「ロールモデル」という言葉のイメージが独り歩きしているのかもしれませんが、
目標とすることを人に求めるからうまくいかないのではないでしょうか?
自分の目指す姿を分解して、それらを複数の人に求めることをお勧めしています。
例えば、
交渉や折衝スキルを高めたければ、人間関係の作り方が上手い人から学びます。
タイムマネジメントのスキルを高めたければ、時間を上手く使っている人から学べばいいのです。
何でもできるスーパーマンなどいないのですから。
さらに言えば、社内にいなければ社外に探しに行けばいいのです。
ロールモデルが社内の人間でなければならない理由などありません。
ただ、社内にいれば若手社員にとって、楽なだけです。
社内に若手社員のロールモデルとなるような人材を育成することは、
会社としてやらなければならないことではあります。
しかし、現時点でいないのでしたら、
社外で探す支援をしてはいかがでしょうか?
若手社員のロールモデルとしたい人を社外から呼んで、講演をしてもらうのも一つです。
定期的に、社外の人々と交流する機会を会社が提供してもいいでしょう。
そんなことをしたら、タイプ3の転職意欲に火をつけるのではないかと
懸念されるかもしれません。
しかし、それで転職するような社員は、遅かれ早かれ転職してしまうのです。
若手社員の転職が珍しくない時代に、
自社で囲い込むといった発想はナンセンスですし、非現実的です。
そうした懸念をする前に、会社側としてやれることはたくさんあります。
辞めないほうがいいタイミングで若手社員が転職しないことを願って、
今回のシリーズを終了したいと思います。