松下幸之助は、
「ダムのように水を貯めて、必要な時に出せるようにした経営をすべし」というダム経営の重要性について説いていました。
この言葉を人材に置き換えて考えてみます。
必要な事業を展開するときに、できれば社内から必要な人材を配置できるような
経営が望ましいものです。
もちろん、社外から有用な人材をヘッドハントすることも手段の一つではありますが、それは社内に適した人材がいないためです。
必要なときに必要な人材を活用するためには、ダムに水を貯めるごとく、日頃から必要となるであろう人材を育てておかなければいけません。
それは、いますぐ必要な人材ではないかもしれませんが、将来必要となりそうな人材であるならば、今から育てておくべきでしょう。
さらに言うなら、将来必要となるか現時点では不明であっても、多様な人材を育ててプールしておけるといいでしょう。
現在のように急激な環境変化が起こるビジネス下では、現在は必要とされていない人材が、いつ必要になるか分かりません。
パナソニックのインド市場への再進出は、ある日本人の存在がありました。
パナソニックが過去にインド市場から撤退した後、もしかすると、彼をどう活用すれば良いのか分からなかったのかもしれません。
ところが、新興国の発展によって、パナソニックがインドへ再進出しようと判断したとき、彼は非常に重要な存在となりました。
パナソニックが松下幸之助の教えを守って、彼をプールしておいたかどうかは分かりませんが、必要なときに必要な人材を配置することができたわけです。
人材育成は、リターンを得るまでに時間がかかります。しかも、お金と違って、かけた時間と成長との関係性を数値で予測することが困難な投資です。
その意味において、育成は博打だと言う方もおります。
しかし、だからといって、目先のスキルアップのためや、少し利益が出たから、助成金が使えるからなどの理由で研修をしているようでは、たいしたリターンは得られません。
ましてや、ダム式人材活用を行えないことは明らかであります。
市場環境の急速な変化やグローバル市場への展開を見据えた企業にとって、人材戦略はますます重視され、かつ難しくなるように思います。
だからこそ、先を見据えたダム式人材活用を目指す企業が増えて欲しいものです。